◆ 2006年05月   桜前線北上

矢浪 裕志

 昨年の今頃は、花粉症の後期で猛威が過ぎ去るのを待つのみでした。ある時はくしゃみが何度も何度も出て止まらない、別の日は目が痒くて痒くて、目を晴らしていました。ティッシュを箱ごと持っていないと間に合わない。風の強い日の外出には気を使い、マスクをしたものでした。それでもあくる日は、鼻の周りがグズグズし、微熱で調子が悪くなりました。ところが今年、そんな気配には一向になりません。風の強い日があっても気になりません。広野の根本医院で予防注射を打って貰ったのです。効き目は1ヶ月くらいと聞きましたが、この分だとこれまであれだけ悩まされた時期が、木々の芽吹く季節を喜べる、楽しむ時間を持てるようになりました。注射1本でこんなに違うのは感慨深いものがあります。

 4月の15日に妻が来て、久しぶりに部屋の掃除をして貰いました。本当の目的は富岡にある桜の名所、夜ノ森の桜祭り見物に行くことでした。以前にも見に来た事はあるのですが、今回はライトアップされた桜並木を見ようと『リフレ富岡』桜並木の絶景に位置する施設に予約しました。しばらく前に予約を入れましたが、その時は満室で断られました。諦めずにその週に電話を入れたら、運良く空いていました。   ネバーギブアップ     

 夜店で飲んだり食べたりしようと夕食を断って部屋を出ました。おもては寒いこと寒いこと、とても座って落ち着いて花見をしているどころではなく、早々と引き上げてサウナ付きの風呂で暖まりました。横浜でも花見に行きましたし移い行く、桜を見るのはワクワクします。

 最近やっと話題の本、藤原正彦著『国家の品格』を読みました。その中でも桜の花の話が出てきます。

 桜の花に何を見るか

 この日本人の感性の鋭さの一例が、例えば桜の花に対するものです。

 桜の花はご存知のように本当に綺麗なのはたったの三、四日です。しかも、その時をじっと狙っていたかのように、毎年、風や嵐が吹きまくる。それで「アアアー」と思っているうちに散ってしまう。日本人はたった三、四日の美しさのために、あの木偶の坊のような木を日本中に植えているのです。

 桜の木なんて、毛虫はつきやすいし、むやみに太い上にねじれていて、肌はがさがさしているし、花でも咲かなければ引っこ抜きたるような木です。しかし日本人は桜の咲くこの三、四日に無上の価値を置く。たったの三、四日に命をかけて潔く散っていく桜の花に人生を投影し、そこに他の花とは別格の美しさを見出している。だからこそ桜をことのほか大事にし、「花は桜木、人は武士」とまで持ち上げ、ついには国花にまでしたのです。

 桜の花の時期になると、みながうきうきします。桜前線が南から上がって来ると、もう吉野は満開かな、高遠や小田原はどうだろう、千鳥が淵や井の頭公園は来週かな、などとみな自分の知っている桜の名所が気になりだす。桜前線が地元に至ると、今度は天候を心配します。天候を心配するのは、花見の幹事だけではありません。桜は人生そのものの象徴だから、誰もが気になって仕方がないのです。

 この様に書いております。福島にはその他『花見山』『三春の滝桜』『会津の鶴ケ城』などがあります。私は名所としては『夜ノ森の桜並木』しか行っておらず、これからは毎年毎年1つづつ見ていくことにします。

 4月の終わりに新潟県に行ってきました。妻の実家の娘、私にとって姪に当たる一人娘が結婚する事になり、教会での式と披露宴に出席してきました。私の長女とは一つしか離れていないので、何時自分の番が回ってくるのか、気が気じゃない思いに駆られました。結婚式での義兄さんの役割を逐一観察しておりましたが、我が娘には神道か仏式結婚でお願いしたいものです。帰りは上越市から十日町を抜け六日町から関越高速に入りました。今年の豪雪の跡があちこちに残っており、田んぼや日陰そして雪の保管場所と思われるところは、まだまだ多く残っていて、7月頃までかかりそうに見えました。十日町ではまだお花見が出来ます。

 5月の連休は横浜で過ごします。どこにも行かない連休は初めてかな、結婚以来。ぜひリフレッシュしてください。

 すっきりして又お会いいたしましょう。